産福連携



実績


仙華園 みんなでいっしょに食堂

「みんなでいっしょに食堂」のはじまり


陸前高田市米崎町で、地域の子どもたちの居場所や食を通して親子の交流の場になれればと、「みんなでいっしょに食堂」という名で子ども食堂が新たにスタートしました。

みんなでいっしょに食堂は、タカタアグリコンソーシアム(以下、TAC)のメンバーであり、食堂カフェ仙華園オーナーの吉田宏さんが会長をつとめ、しみん有志の人たちによって実行委員会が9月に発足されました。

食堂カフェ仙華園オーナー兼みんなでいっしょに食堂実行委員会長の吉田宏さん

実はみんなでいっしょに食堂は、朝日のあたる家の取材がきっかけとなり、動き出したものなのです。

TAC所属農家・活動紹介の取材を行ったときに、宏さんは最後に「近い将来、こども食堂をやりたいんです」と夢を話してくれました。

▼仙果園 吉田宏さん/所属農家・活動紹介記事▼

おもいに賛同し、協力の輪が広がる

ここから繋がったのが、陸前高田市議会議員の木村あきらさん。議会などでも、保育や地域での子育ての課題、ひとり親家庭やこどもの居場所について、提言しています。木村さん自身も問題意識をもっていたそうで、宏さんから「こども食堂をやりたいんです」と相談があり、一緒に走り出しました。

右奥:陸前高田市議会議員の木村あきらさん

6月には打ち合わせを行い、現在、陸前高田市にあるレインボーハウスで、月1回こども食堂を開催している「たかたゆめきっちん」へ見学も行きました。

実際に自分の目で見て話しを聞いてみて、自分たちなりの形でできるんじゃないかと、手ごたえを感じたと宏さんは話します。

宏さんがこども食堂へ込めたおもいは、地域への恩返しでした。

「震災でお店が被災して、営業再開後も地域のみなさんにたくさんお世話になりました。自分に何かできることはないかな?と考えたときに、お店があるし、近くに学校もあるので、こども食堂で地域へ貢献したいと思ったんです。仙華園で働く従業員の人たちへも話してみたら、反対されることはなく『いいんじゃない』と、協力的だったので背中を押してもらった感じではありますね」

宏さんは、お店の定休日や休憩時間を利用して、市内の企業やお店へ協賛の声がけや、ボランティア参加の呼びかけなども行ったそうです。

実行委員として嬉しい出来事もありました。気仙地方をエリアとした地域紙「東海新報」のボランティア募集の記事を見て、「こども食堂のお手伝いがしたい」と市内に住む高校生の女の子から連絡があったそうです。

第1回開催に向けて、実行委員やボランティアの人たちと一緒に、メニュー案やチラシ作成、周知の方法などの事前準備についてや、当日の担当や一連の流れにそった動きについてなど、何度か打ち合わせを重ねました。

運営していくにあたって一番大切にするコンセプトは、「みんなでいっしょに」ということ。「みんなでいっしょに、いただきます」「みんなでいっしょに、楽しく食事をする」「みんなでいっしょに、楽しい時間を過ごす」をテーマに掲げました。

「参加した人たちみんなでいっしょに。もひとつのテーマではありますが、近隣のお店や企業、地域の人たちといっしょに、協力して盛り上げていきたい。というおもいもあります」と宏さんは話します。

宏さんのおもいや取り組みに賛同した市内の企業やお店から、野菜やお肉などの食材、参加者へのプレゼントとしてお菓子や、食事を待つ間、子どもたちが遊べるようにと「たかたのゆめちゃん」のぬり絵やクレヨンなども協賛でいただきました。

子どもたちにとって、少しでも楽しい場となるようにと、仙華園従業員で考えたアイディアも。

参加した子どもたちが書いたものを何か形として残しておきたいということから、りんごの木をモチーフとした、大きな「ゆめの木」が作られました。

「従業員の2人が元保育士さんで、手慣れた様子で作ってくれました。こどもたちの夢や頑張りたいことなど、そのとき感じたことでも、好きなように書いてもらえたら嬉しいですね」

こうしてたくさんの協力のもと、みんなでいっしょに食堂は、10月と11月で2回開催されました。

「いただきます」をする前に宏さんからは、開催できたのはいろんな方からの協賛や協力があってのこと。「楽しみながらも、ぜひ感謝の気持ちをもって食事を味わってください」と、お話しがありました。

食事を通してうまれる笑顔

【第1回 みんなでいっしょに食堂 10月18日(金)開催】

メニューは、カレーライス。

1回目17:00~いただきます

2回目18:00~いただきます

参加人数:大人17名、子ども26名

【第2回 みんなでいっしょに食堂 11月15日(金)開催】

メニューは、ピラフ。

1回目17:30~いただきます

2回目18:30~いただきます

参加人数:大人24名、子ども35名

第1回、2回と参加したご家族は「毎回違うメニューで工夫されたお料理に、親子で心も身体も満たされています。子どもたちにとって、お友だちと楽しく夕食を食べる貴重な機会にもなっています。また、市内事業者さんのご支援も多いと知り、地域で子どもたちを育ててくださっている実感を持てて、とても嬉しく思います」

第2回開催ではじめて参加した方は「こども食堂に行くのも初めてで、雰囲気もわからず来てみましたが、みんなで一緒に食事ができて、息子達も大喜びでした。家ではご飯を残すことが多い息子も、いつもと違う特別感を楽しんでいて完食しました。美味しいご飯ありがとうございました。また行きたいです!!」

会場は、子どもたちの笑い声、「おいしいね!」「楽しいね」という会話でいっぱいです。

楽しい雰囲気の中で、家族やお友だちと一緒に食事をすることで、食への興味や関心が高まり、心身ともに元気になるとも言われています。

次の夢に向けて

無事に開催を終えて、ボランティアで参加した高校生の鈴木さんは、「ボランティア募集の新聞を見たお母さんが『こんなのあるみたいだよ』と教えてくれて、ぜひ参加したいなと思って連絡してもらいました。お手伝いしてみて、予想外のことが起こるけど、それがまた楽しいです。子どもが好きなので、これからもできる限りボランティアで参加できたらと思っています」

右:ボランティアで参加してくれた鈴木さん

子どもたちに声掛けをしたり、ぬり絵やお絵かきをする子どもたちを優しく見守ったり、お姉さんのような安心感がある、鈴木さん。将来は、子どもに関わることがしたいという夢があるそうです。

1回、2回と開催を終えて、宏さんは、これからもできる限り続けていきたいと話します。

「まず、みなさんに喜んで食べてもらえたので本当に良かったです。みんなでいっしょにいただきます。を大事にしているので、早く来た方には料理を前にしてちょっと待たせてしまったので、段取り含めて改善していきたいなと思います。これから近隣の飲食店にも声がけをして、協賛いただけるところを増やしていけたらと思っています」

最後に、これからの夢について伺いました。

「隣にあるコミセンをお借りして、食事を待っている間、子どもたちにおもいっきり遊んでもらえたらいいなって。楽しんでもらえるような仕掛けを色々と考えていけたらと思っています。みんなでいっしょに食堂が、月1回の家族の楽しみになるような存在になれたら嬉しいですね」

食事の香りを感じる「嗅覚」。手にもったお箸やお皿に手を添えたときの「触覚」。おいしかった!という「味覚」。ぬり絵やお絵かきをして遊んだという「視覚」。会話や笑い声などの「聴覚」。この時に五感で感じた記憶が、楽しく食事をしたという思い出として残っていくことでしょう。

みんなの夢も叶いますように……。

※次回以降も月1回、第3金曜日で開催を予定しています。

詳細について、「みんなでいっしょに食堂」インスタグラムでも発信しております。

https://www.instagram.com/minnaissyo.syokudou?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==

取材・文 吉田ルミ子

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