働き方の多様性
岩手県奥州市江刺にある菅野農園さん
2023年の夏に農福連携の先進地視察として訪問させていただきました。
菅野農園さんは何年もりんご栽培において地域の就労継続支援B型事業所と農福連携を行っていて
2023年6月には自社で就労継続支援A型とB型を立ち上げています。
詳しくはこちら
▶️「今日もどこかで農福連携15」菅野農園視察編
その後も菅野農園さんと情報交換をさせていただいていたところ
りんごの収穫が終わる12月以降から春先まで
就労支援事業所の方での仕事を募集しているとのことでしたので
何かお力になれたらと、受託できそうなお仕事を紹介させていただきました。
農園がオフシーズンを迎える冬
野菜や果樹などの生産を扱う現場では冬場の働き方も一つの課題かと思います。
今回紹介してお繋ぎしたのは「再生羽毛」のお仕事
連携先は縫製連携をさせていただいている奥州市胆沢の「ファクトリー奥州」さん
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▶️工業と福祉を掛け合わせた「工福連携」
ファクトリー奥州さんでは大手企業のリサイクル布団の再生羽毛事業を行なっており
・リサイクル布団から羽毛を取り出す
・洗濯機で洗浄
・乾燥機で乾かして再生羽毛として市場へ
といった工程を受託しています。
そのリサイクル布団の数も多いことや
福祉への仕事づくりへも貢献したいといったお考えから
ファクトリー奥州さんではかねてから連携先を探しておられました。
菅野農園さんは倉庫もあり、作業スペースもあり、大型トラックもあり
ファクトリー奥州さんの会社付近へも納品で行き来があるということで
納品や原料受け取りができるといったことでも環境面でもマッチングし
12月に作業内容視察を行い、受託開始となりました。
菅野農園さんではりんごの倉庫の中にテントを貼り
作業スペースを自作して取り組まれていました。
物干し竿に布団をかけてカッターで中綿を取り出し
下に集積した羽毛を吸引機で吸い取っていきます。
12月中旬から作業を始め、1月に訪問した際には
もうすでに1800枚分の布団の羽毛抽出を終了したそうです。(すごい!)
1日に4〜5人で100枚は作業しているそうです。
利用者さんにこの仕事のやりがいを伺うと
「小さい羽毛がたくさん飛び散るので吸わないようにマスクをしています」
「大変ですがやりがいがあります」
「マスクしないで大丈夫ですか?」と逆に訪問したコーディネーターを気遣ってくださいました。
▶️現場の様子(動画)Instagramより
菅野農園の代表の菅野千秋さんは
「みんな農業がやりたくてうちに来ているので、ずっとこの作業を専業にとはいかないけれど
オフシーズンの時に場所を活用してこのように仕事ができることや産業連携ができることはとてもありがたいです。みんなにはどんな仕事も選ばないで一生懸命やるということも教えていきたい。」
と話されていました。
皆さんの作業スキルや仕事への向き合い方も
この冬で一段と成長されるのではないでしょうか。
春を待つ農園での再生羽毛のお仕事
迎える春には一冬待ちわびた農作業が
季節と季節をつなぐ新しい仕事は
人と人、産業の支え合いも繋いでいきます。
(文:鈴木 拓)