農福連携進捗


米崎りんご×農福連携

りんごの農福連携〜実績報告〜


陸前高田市だからこそできる農福連携へ

岩手県のりんごにおける生産数やそれに伴う農福連携の広がりは内陸部の奥州市が有名ですが
陸前高田市においてもりんごは約120年前から続く、とても歴史ある伝統産業です。
岩手産りんごは、りんごの木を低く仕立てることで太陽の光が樹全体に行きわたるような
「わい化栽培」や、収穫時期を遅らせ樹に実らせたまま完熟させる「樹上完熟」などがあり
甘みと酸味の絶妙なバランスやシャキッとした食感が特徴とされています。

陸前高田市の海を臨むりんご畑は全国的にも珍しく
その美しい風景は陸前高田を象徴とする風土でもあります。
そんな陸前高田においても、特にりんご栽培が盛んなのは米崎地区です。
りんごの産地としては比較的温暖な地域であることと
霜が降りるのが遅いため樹上完熟栽培にとても適した風土にあります。
また、高台の傾斜地を利用した栽培により、圃場の水捌けが良いことや
南向き斜面が多いことから、1日を通して日照量が確保でき
そして海からはリアス式海岸による静かな湾の海面が鏡の役割を果たし
鏡面反射として日照を大地に返すことで
空からも海からも太陽の恵みを受けてりんごが育つことができます。
極め付けは温暖な気候だけではなく、氷上山をはじめとする山からの吹き下ろしの冷たい風の恵みで
寒暖差の気候も織りなすことで、これら風土の芸術米崎りんごを作り出している、とされています。
市全体においても農業経営体数が313経営体とある中で
りんごは102経営体(56ha)となっており
作付け面積も米を除くと全農業の中で1番となっており
まさにりんごの里です。

しかしながら東日本大震災以降
震災による様々な影響や、人口減少
りんご農家さんの高齢化などにより
りんご農家は減少しつつあり
産業持続としての人手不足や
担い手不足の課題が聞こえるようになりました。

一方で、福祉においても近年の受託作業の減少により
地域産業との関わりのきっかけの模索など
地域産業との連携への潜在的なニーズはあったものの
なかなかりんご産業との農福連携には至らずにいました。

そんな折に、農福連携の推進としてタカダアグリコンソーシアムの結成を機に
りんごにまつわる年間の作業を業務分解をしてみると
収穫までの管理や草刈り、摘果、葉摘、玉まわしなど
スポットで人手を要する作業が多数ありました。
この作業をもし福祉事業所が覚えることができたら
年間を通して様々なりんご農家さんのサポートができるのではないかと
その検証の初年度はスタートしました。
結果、多くの方々にりんご畑で作業していただき
・草刈りが一瞬で終わって助かった
・遅れていた摘果作業が間に合った
・天候の影響で一気に収穫したかったから助かった
・パートさん達も高齢になってきて、運搬労働が大変だった
・力仕事をしてもらって助かった
・選別が捗って出荷が助かった
など、農家さんからもたくさんのお声をいただき
福祉就労の皆さんにもたくさんのりんご周りの仕事を覚えていただきました。

誰かが担う産業から、みんなで担う産業へ

誰かが辞めれば途絶えてしまうものではなくて
ノウハウや労力や、労いも感謝もシェアしあいながら
助け合いながら多世代で地域産業を支えていけたら
タカタアグリコンソーシアムは福祉を通じた就労支援での社会参加だけではなく
一次産業の魅力と伝統産業の次世代継承の必要性を
発信していきたいと考えています。
米崎りんごを頬張って笑顔になる消費者の皆さんも
現場でりんご作りを支えるみなさんも笑顔に

太陽と海の恵みだけではなく
りんごを支える畑からの第三の「笑顔という日照を」私たちは作り
米崎りんごの魅力をより照らしていきたいと思うのです。

りんごも12月よりオフシーズンを迎えましたが
もうすでに翌シーズンの準備としてのりんごの木の剪定が始まっています。
この剪定剪定枝集め枝の処理からまた今年の農福連携は始まります。
今年のテーマは「循環型農業」
規格外品の利活用や廃棄ロスだけではない、未利用資源としての剪定枝の活用
資源としての循環だけではなく
農業と人との循環
そしてたくさんの笑顔の循環
これらをたくさん届けられますように

(文:鈴木 拓)

タカタアグリコンソーシアムのりんご農家
▶️イドバダアップル
 ▶️イドバダアップルインタビュー@なないろぷれす
▶️ドメーヌミカヅキ
 ▶️ドメーヌミカヅキインタビュー@高田暮らし
▶️仙果園
 ▶️仙果園インタビュー@けせん震災と昔の記憶


- 作業日数 46日
- 総作業時間 175時間
- 参加延べ人数 194名
- 障がいのある方の参加 43名
- 委託費合計 359,125円

一覧

ページのトップへ戻る