農福連携進捗


地域に眠る資源を、いのちある農地へ

朝日のあたるファームが描く“循環”のかたち【後編】


みんなで「がっちり!」ポーズを決めた朝日のあたるファームの現場から、今回もお届けします。
前編では「朝日のあたるファーム」で取り組んでいる堆肥の製造・販売についてご紹介しました。
今回はその後編として、堆肥づくりの現場を支える朝日のあたるファームの皆さんの様子をお届けします。

※この活動は、環境省「令和7年度 地域の資源循環促進支援事業」の一環です。

〝海から届いた資源〟を山へ届けるために

実証開始となった2025年10月。 利用者の皆さんは、さっそく海洋残渣(ざんさ)の分別作業に取り組んでいました。

届いた海藻は、養殖施設から剥がされたもので、小さな貝殻や海洋ごみが混ざっています。これらを、海藻(植物性)と貝殻(動物性)に分け、さらにゴミや砂利などを丁寧に取り除く必要があります。

大量に運び込まれた海藻類を、テーブルの上に広げ、手作業で仕分けします。
利用者さんが、次のように教えてくれました。
「海藻が多い部分や、貝が多い部分、砂利が多い部分に分かれているんです。砂利が多い部分は、取るのが大変」と。
朝日のあたるファームの利用者さんは、こうして自分の言葉で仕事のことを教えてくれます。

ほかには海藻の分別をしながら、「おいしくな〜れ」と声をかける人たちもいました。
菌も人も「いい言葉をかけてあげると良く育つ」とのこと(決して食べるわけではないですね)。
利用者さんも「とても働きやすい」と感じている、和気あいあいとした現場です!

海藻は
・ゴミやプラスチック、砂利を丁寧に取り除く
・海藻と貝殻を分ける
・粉砕された杉の皮などに混ぜる
・発酵させる ・有害物質などの有無を検査する

こうした工程を経て、海から届いた恵みは生まれ変わり、畑の命を育む堆肥へと変わっていきます。

働くことが楽しい!

利用者の皆さんの声を伺いました。
かなこさんは、この堆肥づくりのほかにも、草刈り、ピーマンの収穫・選別など、さまざまな作業を経験してきました。
「ここで働いている人たちは、みんな一生懸命で私も頑張りたくなりますね。
実は、仕事が楽しくて物足りないくらい!! 家に帰っても『もっと仕事したいな〜』って考えるくらいなんですよ」と、私生活にもハリが出ているそうです。

実は、かなこさんは機械をさわるのが好きで、いちばん好きな作業は草刈りなのだそうです。「作業したところが目に見えて、綺麗になるのがうれしいんです」と、笑顔で話してくれました。

やりたいことが見つかる場所

海藻作業の向かい側では、杉の皮の運び込みの作業が行われていました。
作業中の狩野さんにお話を伺いました。
「夏前に、ファーム小金山さんのところで植えたピーマンが、ちゃんと育つか不安でした。でも、しっかり実ってくれてホッとしました。頑張ってよかったです」

「この仕事をして思うことは「ありがたい」の一言ですね。働きたくてもなかなか場所が見つからず、今の仕事を紹介してもらえました。職場の雰囲気もよくて、苦手な作業も丁寧に教えてもらえるので、できることが増えていくのが嬉しいです。

今後は、チェーンソーを使って竹を切る作業をしてみたいと思っています。今度、粉砕機の使い方を教えてもらえる予定で、それも楽しみです」

狩野さんには「これに挑戦したい!」と思えることが、どんどん増えているそうです。

スコップが小さく見える!この量が運び込まれてきます。

未利用だった資源に光を

素晴らしい資源が地域には眠っています。

それは資源だけではなく、人に対しても同じです。

地域の大切な財産として、

その存在に光を当てる仕組みがあれば、きっと誰もが「土を耕せる」存在としてもっと輝ける。未利用という言葉だけで片付けてしまってはいけない――

この事業で地域資源を活かし、みんなで未来をつくる。

農業 × 福祉 × 環境 をつなぐ新しいチャレンジをこれからも乞うご期待ください!

取材・文 板林 恵

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