朝日のあたる家では今年度(2023年)
地域おこし協力隊のインターン受け入れを行なっています。
地域おこし協力隊インターンとは
「地域おこし協力隊インターン制度」は、地方への移住や地域おこし協力隊に興味がある方が、実際に現地で暮らしながら、地域に自分がマッチしているかをお試しできる、地域おこし協力隊の「プレ体験」となります。
◯総務省地域おこし協力隊インターン
▶️https://www.soumu.go.jp/main_content/000745990.pdf
◯陸前高田市地域おこし協力隊インターン
▶️https://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/soshiki/kankokoryuka/teijukoryugakari/1/7338.html
◯移住スカウトサービスSMOUT
▶️https://smout.jp/plans/12375
今回ご応募いただいたのはなんとアメリカ人の
リーパー・カイ・アリさん(28歳)
現在、お試し移住で2023/5月から陸前高田市の広田町に滞在している
ラップを中心とするミュージシャンでありアーティスト
ペンシルバニア州ピッツバーグ出身で
父がアメリカ人で母が日本人
ロサンゼルスで学生時代を過ごし
21歳からは日本にきて7年目という
お母様のことを「おかん」と呼ぶ
実に日本語が堪能な青年でした。
どうして朝日のあたる家のインターンに応募されたのか伺うと
パートナーと広田町に移住してきて
ご自身は音楽制作を主としながら生活している中で
パートナーの方は地域で働き、楽しそうに働いている姿を見て
ご自身も町の人と触れ合って働いてみたいと感じたとのこと
大野海岸の海の監視員を経験して地域の方々との交流にとても良いバイブスを感じ
デスクワークよりも自然が好きで土を触ったり外で体を動かす方が好きで
年齢に関係なくコミュニケーションをとり、場を明るくしたいです。
と話す彼の2週間の地域おこし協力隊インターン記
これは単に農福連携や農業を経験した若者の体験記ではなく
28歳の若者の葛藤と成長の2週間でもありました。
カイさんは持ち前の明るさで
障がいのある方々へも何の偏見もなく
気さくに話しかけたり、世間話をしてくれたりしました。
好きな音楽は何を聞きますか?とか
カイ君はどんな食べ物が好き?と聞かれると
「南蛮味噌です」と答えて、笑いになったり
毎日の農作業やサポート活動が本当に新鮮で楽しんでくれました。
彼自身はとても充実した日々の様子で
微笑ましくも提供側としても嬉しく思いました。
しかしながら、これは地域おこし協力隊へのプレ体験ということもあり
日々のインターン日報の感想が明るい彼のポップな表現と楽しいが散りばめられているだけでは
きっとこのインターンの目的とスキームに乗ってもらうためにも
きっと彼のためにはならないと
彼の日々の内省的な振り返りにだけなってしまってはいけないと思い
心を鬼にして、途中からは日報の書き方や振り返りのフィードバックを行いました。
どういった原因が考えられるか、何ができそうかをコーチングするフィードバックに努めました。
きっと彼の中ではその辺りへは戸惑いと葛藤があったことと思います。
納得がいかない部分や自分がしたい表現と変わることへのストレスもあったことでしょう。
それでも関わる方々へのサポートで感じたことであったり
状況説明の文章の書き方であったり
知り得た農業課題や解決したい問題に対して
どう感じて、どうコミットできるかのアプトプットに頑張ってもらいました。
ある日、農家さんに作業のことで指示を受けた際に
仕事の効率や準備ついて、もう少し周りを見て考えて動いてみて、と話され
少し曇った表情になってしまった彼
大丈夫かな、、と心配していましたが
その日の振り返りにて
今日はインターンで初めて、自分の弱い部分が明確に見えました。
皆さんと関わっている中で色んな面で良い人ぶっていた自分の性格の部分があったと思うですが
今日それがはっきり分かって本気で自分を変えようと思いました。
それは自分のためだけではなく皆のためになると思ってます。
こう言う向き合いずらい自分の弱いところを見つめないと
一生同じ状況を作って、永遠に進化しないので、自分は変に良い顔して関わるのやめます。
それは農家さんだけじゃなく町の皆に対してです。
それが自分の今やることだと思ってます。
そう言うのを乗り越えて人と深い関係を作っていくのが自分の次のステップです。
彼の成長を見守る、親戚のおじさんの気持ちで、とても感慨深いものがありました(涙)
そして同じ日の感想がインターン後半では以下の文章に差し替えられていました。
農家さんの手伝いをしに行ってる中で、農家さんが体を壊さないように
人工筋肉の役割を果たすハーネスをつけていました。
スマート農業の一つということで東海新報さんがが取材に来ていました。
それを見てあらためて農業をやるリスクの部分と大変さを感じました。
人口が少ないし農業は高齢化が進んでいて、引き継ぐ人がいない状態です。
農家さんたちはどんどん年を取ってその作業がどんどん辛くなっていくし
ケガするリスクが高まります。
タクさんみたいに農家さんとお手伝いに入る方の間に入る人がもっといれば
このような問題がだいぶが減ると思います。
内省的だった振り返りから一変して
その日にあったことや状況の話がしっかりと入り
背景の分析とどうあったら良さそうかに書き直されていました。
(私の目は涙でいっぱいになりました)
自分が一生懸命カッコつけて上手くやろうとすることよりも
みんなが楽しんでくれるように盛り上げながら場を作ることに努めることも知ったカイ君
皆さんと大合唱の上を向いて歩こう
彼の思い出の曲になってくれたようです。
肉体労働ではハードな作業も分担して行うことで分散されること
疲労は半分に達成感は2倍に
天候に左右された収穫の遅れをみんなで助け合うことを知りました。
おやつに補給する蜜入りりんごが格別で
方言の勉強にもなりました。
▶️りんご畑番外編(Instagram)
最終報告会に向けて
最終日は遅くまで残り、日本語でパワーポイントを仕上げたカイさん
以下は彼のまとめから
陸前高田市で感じたこと(魅力)
陸前高田は小さな町で、全体的に助け合いの文化が強くてすごく魅力的でした。都会は皆お互い知らないふりしている中で陸前高田は皆距離感が近くて良いなって思いました。
陸前高田市で感じたこと(課題)
逆に言うと、陸前高田は小さな町だからいろんな課題もあります。
人口が少ないせいで仕事も少ないし、働く人も少ない。
平均年齢もどんどん上がっていて、ビジネスオーナーたちは店や農家を引き継ぐ人がいない状態です。
私がコミットできること
具体的に言うと農家さんの直接的なお手伝いだったり
規格外の果実を飲食店に紹介したり捨てられないように充てる先を見つけたりできます。
(実習中、実際にカイさんのコネクトで飲食店に40キロものの規格外果実を使っていただけました)
実習先で感じたこと(課題)
色んな繋がりがあって生まれた仕事があって、協力して作業する人がいて、そこで余ったものが無駄にならないように行き先を考えたりしているのを見て、繋がりの大切さを感じました。
その繋がりを作ることはもっと大切です。
実習先で感じたこと(課題)
実際にりんご農家の現場に行って、人出が足りなくてりんごが沢山落ちてるのを見て、もったいないって思いましたし、上手くやれば絶対に解決できる問題だと思いました。
私がコミットできること
自分のできることは直接的に農家さんたちと関係を作っていく中で
お互いに気持ちよく助け合える関係にしていくことです。
その上で自分が経験したこととか気付いた課題、出会った人達のことを色んな人に伝え、発信して協力を求めていくことです。
地域おこし協力隊としてコミットしたいこと
自分がインターン中に経験したこと、気付いたことを口に出したことで新しい連携を作ることができました。(規格外の果実が飲食店の新メニューに繋がりました)
それによって廃棄ロスの削減になりました。こんな風に自分が現場で見たこと、経験したこと、感じたことを発信することができます。
それ以外に直接的に農家さんと関係を作って保つことをして、助け合い場を作っていけると思います。
と、ここまで日本語でまとめることができるに至りました。
そしてカイさんは最後こうまとめます。
ここで覚えた豊かさと何でも循環をさせていくマインドは
自分の人生にも生かせたいです!ありがとうござました!
ナイスバイブス!カイ君!
君はとってもピュアで誠実な若者です。
きっと君の笑顔と明るさで救われる人たちがたくさんいます。
自信を持って何でも積極に関わっていってください。
なんなら一緒にこの地で農業を支えていこうよ。
こちらこそ2週間ありがとうございございました!