農福連携進捗


farm koganeyama × 朝日のあたるファーム

ピーマンの農福連携〜2025年実績報告〜


農福連携で収穫量は3.4倍に

2025年4月から11月まで行われたピーマン栽培拡大に係る
タカタアグリコンソーシアムのfarm小金山さんと
就労継続支援B型朝日のあたるファームの農福連携の実績を報告致します。
農福連携開始3年間で最も暑く熱い現場の様子も総括致します。

春、農福連携で営農計画拡大へ

2025年4月、小金山さんは農福連携への期待を胸に、大きく営農計画を拡大しました。
2400本のピーマン定植作業を2倍の4800本へ
その計画を支えるべく朝日のあたるファームは総出で
小金山さんのピーマン畑の定植から圃場づくりまでを支えました。

定植前半戦、流石の量に少しビビる一同

定植作業は徹底した分業体制で行われ
・苗を液付けする係
・苗を圃場まで運ぶ係
・マルチに穴あけする係
・穴あけした場所に苗を仮置きしていく係
・穴あけした場所へ肥料を撒いて回る係
・仮置きされた苗を定植、覆土する係
・定植した苗に支柱をさす係
・支柱と苗をテープ留めする係
に分かれて分業作業としました。

これら分業体制には3つのメリットがあり

単純作業による効率化
1人が「複数工程」を行わないことで。理解しやすい単純工程となり
単純作業の連続により、作業のポイントが抑えやすくなることと
単純作業の連続で動作効率、作業スピード、正確性も向上します。

②作業負担軽減
立ち仕事は立ち仕事のまま、膝つき仕事はそのまま膝つき横移動できる仕事など
つまりは「立座りの繰り返し+移動」としないことで足腰への負担軽減を図ることができます。

③注意分配数の軽減
①に通ずるところになりますが、複数の物事に意識を配ること、目線の移動が多くなる仕事は
神経疲労、消耗を起こしやすくなり、集中力持続の低下につながります。
障がいのある方の作業特性や体力を考慮し、得意な作業、持続できる作業で役割を担っていただくことで、チームとして取り組む意識が芽生えました。

分業体制により以前は10日〜15日間の時間を要していた2400本定植が
なんと2日間(4時間作業×2日)で終了し、3日半で4800本の定植が完了しました!

苗の液付け作業 通称:ドブづけ
苗供給係の生活支援員:千葉
あっという間にピーマン圃場の基礎が仕上がっていきます
昨年よりも少ない労力で4800本を完了!

定植作業後の圃場の管理作業では、ネットを張るための支柱作りを行いました。
こちらも分業体制で行い
・支柱をさす場所の間隔どりを行い下穴を開ける係
・イボ竹の封を開けて畑まで運ぶ係
・イボ竹を持ち運び下穴に手差しする係
・手差しされたイボ竹を木槌で打ち込む係
に分かれ

その際には、細竹にテープで印を作り
・等間隔を図る目印
・差し込む深さがわかる目印
を作りことで作業をわかりやすくしました。

下穴を開ける係
支柱の差し込み深さの基準
支柱の横間隔の基準 2WAY仕様
イボ竹の供給係
支柱さし係 女性陣も頑張ります
作業進捗に小金山さんもニンマリ
2時間で完了、この調子で3圃場を作り上げていきます
手応えを感じる2人(鈴木と小金山さん)

夏、収穫作業と選別作業へ

今年から本格的に開始となった、収穫作業と選別作業の分業化。
ファーム小金山さんと朝日のあたるファームで収穫を行い
選別作業は朝日のあたるファームと就労B型作業所きらりさんへ選任する分業化。

これにより小金山さんは収穫と圃場管理に専念し
選別からの出荷調整作業を朝日のあたるファームが担い
小金山さんは出来上がったピーマンを出荷するのみ、とした新しい農福連携の形です。

連日の暑さの日はAMのみの収穫作業で調整
作業負担軽減でAMとPMで作業メンバーを入れ替え 夏場は夏季外作業手当でモチベーションサポート
収穫されたピーマンは朝日のあたるファームの倉庫へ運ばれます
搬入したピーマンの重量を測り、まずは軸切り作業へ
軸切り作業の様子
軸切りの後は重量選別機で規格分け作業
キズや病果を見分けて、出荷品と廃棄品へ分別する最終選別作業
冷蔵庫の導入により出荷するまでの保存ターンを作ることができ出荷ペースのコントロールが可能に
毎日がピーマン最盛期のピーマンの夏

DIY精神が生み出した低コスト選別機によるピーマンの選別革命

時を遡る事、、、まだ雪も残る3月のこと
小金山さんと一緒に山形県の中古農機具屋さんに何度も足を運び
中古のさくらんぼの選別機を数台購入し
朝日のあたる家のハイエースで岩手までコツコツ運んできました。

これが小金山さんの絶え間ない努力によりピーマン選別機に生まれ変わります。
(さくらんぼ重量用の選別機を内部改造と調整を行い、ピーマン規格用に改造します。)

選別機の調整を終えた小金山さん

この地域でのピーマン農家さんの最大の課題はこの選別作業負担にありました。
どんなに生産量を増やしたくても、選別作業に時間がかかり
収穫して翌日出荷するまでに夜遅くまで選別残業が発生することから
収穫量をある程度抑えなければならず
生産量が伸ばせないと各農家さんは話されていました。

今まで手選別で行われていた圏域の選別作業は
一人当たり毎時800個ほどでしたが
この選別機の導入により毎時8700個の選別を可能としました。
今では最大5台が稼働していることから
私たちの農福連携では毎時1tもの選別能力を有しています。

場所も取らないサイズで、スピード感的にも誰でも取り組める事もこの選別機の良いところ

今シーズンは小金山さんとの連携の他にも
他、主力ピーマン農家さんからも選別作業の依頼があり、農福連携は拡大しています。

そんな選別機の様子をインスタグラムでキャッチされた青森県の就労支援事業所さんからも
なんとこの選別機の導入オファーがあり(また山形に仕入れに行きました笑)
農繁期前の6月には小金山さんと実際に青森県まで届けに行ってきました!

現場で調整作業する小金山さん
就労A型とB型を営む青森県弘前市の「にじのいろ」さん、なんと今年のノウフクアワードで優秀賞に!

目指すはスター農家

今年で圏域で最大のピーマン農家となった小金山さん
その夢の先はスター農家へと続きます。
(スター農家とは売上が3000〜5000万を超え1億以上の成長をめざす農家のこと)

その連携パートナーとして朝日のあたるファームでは
農作業での「前線支援」
倉庫を中間拠点とした「中間支援」
堆肥などの資材で循環型農業を支援する「後方支援」
その全方位を持って農福連携で支えていきたいと思っています。
来シーズンは8000本の定植、30tの出荷計画がすでに動き出しています。


農地拡大、生産拡大を農福連携とともに

小金山さんの叶える夢、だけではなく
小金山さんと地域で叶える夢へ

人、農、地域、未来を耕す、農福連携のステージへ
その耕しはまだまだ始まったばかり

小金山さん!今シーズンもありがとうございました!

文:鈴木 拓

- 作業日数 76日
- 総作業時間 272時間
- 参加延べ人数 774人
- 障がいのある方の参加 15人
- 委託費合計 852,755円
- 生産収穫量 約15トン

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