産福連携



実績


2023 三陸ラボラトリ株式会社

SDGsでつなぐ水福連携と産業持続化の取り組み-前編-


ホヤ産業を取り巻く背景〜東日本大震災による影響〜

海のパイナップルと呼ばれ、甘み、塩味、酸味、苦み、うまみといった5味を一度に堪能できるといわれる
東北の太平洋側の海産物「ホヤ」
珍味ともされ、ハマるとやみつきになる独特な味わいが特徴で、刺身はもちろん、
さまざまな料理にして食べても美味しいホヤ、主に東北、北海道で養殖されていました。

しかし、2011年の東日本大震災で養殖ホヤは壊滅的な被害を受けることに。
ホヤは本来出荷に至るまでに3年を要し、震災後2014年には再起をかけて出荷体制が整うも、
主要輸出国からは原発問題による輸入規制が生じ、生産量の6割に及ぶ量が廃棄となっていました。
流通が壊れてしまったホヤ市場。
それでも廃棄されるホヤや値下がりした分は10年間は保証されていましたが、その保証も2021年で終了となり、
今後も不透明な需要と供給の関係からホヤ業を廃業する方が後を絶たず、
また地域での産業の継ぎ手、担い手の不足も深刻化していました。

三陸のホヤ産業への新たな兆し

そんな中、2020年にコロナ禍が訪れます。
コロナ禍において流通制限、生産現場の稼働制限、各種水産物の原料自体の不漁、不足などから、
卸売市場や内陸部のスーパーでは水産物も減り、供給課題であったことから、
原料自体は廃棄するほどあったホヤに注目、廃棄ロスからなんとか供給への動きへといった取り組みが始まります。

2020年、冬に試験流通したところ販路確保が実現、もし年間供給できるのであれば
SDGsの観点からも大手スーパーが販路として売り出していくことに参入の流れができ、
2021年3月より東北6県イオン全店舗への流通が商談として成立し、企画化が行われることに。

いわて水産持続化共同企業体の発足

岩手県を地盤とする3社(四ツ目商事株式会社/三陸ラボラトリ株式会社、盛岡水産株式会社、株式会社ヘラルボニー)が共同し、
持続的な水産業の未来を見据えた「いわて水産持続化共同企業体」を発足。

「水産×福祉」として、これまで規格外として廃棄されてきた「ホヤ」などの水産物等を
共同企業体が買い取り、商品として加工・販売する。
また、商品パッケージには福祉施設のアーティストの作品を利用することで、
日本全国のアーティストとの間接的な出会いを作りつつ、
販売価格の一部をアーティストへ支払うことで賃金向上などにも寄与していきたい
とされた連携が始まりました。
その動きの中心となったのが四ツ目商事株式会社、そしてホヤの加工を手掛けるために
同会社がCSVとして立ち上げた水産加工の三陸ラボラトリ株式会社でした。

(写真)三陸ラボラトリ佐々木和也氏
課題から生まれたさらなる水福連携

その後、直面した課題はホヤの加工の生産の現場でした。
ホヤは殻ごと出荷されることが多く、ホヤをむき身にして販売するにはホヤの剥き手が必要ということ、
また機械で作業化できず、手作業で行わなければならない生産背景がありました。
漁師町ではありますが今やホヤの剥き手はなかなかおらず、バイト募集してもつかまるかどうか、、、
そこで、当時の三陸ラボラトリ株式会社の佐々木専務は福祉の扉をノックします。
人材不足の問題を福祉や障がい者雇用と連携できないかと、気仙障がい者就業・生活支援センターへ相談し、
同センターが気仙地域の障がい者自立支援協議会の就労部会の事務局であったこともあり、
地域の福祉就労施設である就労継続支援B型事業所へ呼びかけ、施設外就労の連携をコーディネート、
次々にホヤ加工の現場に人が集まりだします。
そして障がい者雇用を見据えた連携としてのチャレンジが始まります。

ここから、農林水産省の行うノウフクアワード2022のチャレンジ賞の受賞に至るまでの2年間が始まるのでした。

後半へ続くSDGsでつなぐ水福連携と産業持続化の取り組み-後編-

就労継続支援B型とは

障がいのある方が一般企業への就職が不安、あるいは困難な場合に、
雇用契約を結ばないで軽作業などの就労訓練をおこなうことが可能な福祉サービスのこと

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