産福連携



実績


2023/09/26 北限のゆず研究会

ゆずの選果作業を通した農福連携


農福連携のきっかけ

まず前提として、ゆず研究会で擁しているゆずの樹は民家の庭や、陸前高田市一帯、また大船渡市の一部にかけて広がっています。
単一農家としてゆずを栽培しているのではありません。
ゆずの樹は、既存樹、また研究会が新たに植樹したものも含めるとなんと1000本(2016 年時点の合計数)を超えており、
育成から収穫まで様々な人が携わっています。

しかしこのゆずは、収穫した全てが市場でそのまま販売されるわけではありません。
生果での販売が可能なもの、搾汁をすれば加工用として販売が可能なもの……など細かな選果規約が存在しているのです。

ゆずの収穫から選果、出荷までの繁忙期は約 2か月程度ではありますが、この期間の仕事量は想像以上のものです。
そこで、研究会会長の佐々木さんが「この選果の作業を、利用者の方にお願い出来ないだろうか」という思いをコーディネーターに相談し、
その結果、就労体験として作業をする話が持ち上がりました。
ここで初めて「農福連携」として、当団体と北限のゆず研究会が手を組むこととなります。

初めての選果作業

 2022年11月、いよいよ就労体験が始まりました。
北限のゆず研究会会長の佐々木さんより選果作業の説明をいただき、作業が開始されました。

 選果のペースは参加者それぞれであり、一定ではありません。作業ペースに合わせたコンテナの配分、声がけなどは職員が行っていきます。
 実際に作業をした参加者も「作業時間のちょうどよさ」や「北限のゆずを使用した商品を購入してみたい」など肯定的な感想を残しました。
しかし、その一方で「選果の難しさ」や「作業中の戸惑い」を感じる参加者もおり、課題も残るのが現実です。
 作業を終え、実際の作業工賃を導き出すと、この選果作業単価は、1 キロあたり 15円、1 ケースあたりに換算すると、約270円です。(およそ18 kg)
 就労支援の方々でも、1 時間で3 〜 6 ケースのペースで作業をこなし、最終的に時給に換算すると 900 円以上の賃金になりました。
これは、陸前高田市の最低賃金を 50 円も上回ることになります。

農福連携がもたらしたもの

 ゆず研究会が抱えていた課題は大きく分けて2つ。「繁忙期の労働力不足」そして「コスト面」でした。
農福連携以前は、繁忙期のみの短期アルバイトを募集し、一定額の給与を支払うという一般的な形式で労働力を確保していました。
約2ヶ月の繁忙期のみのアルバイトを探すことは一苦労です。
また、稼働人数が増えればそれだけ人件費がかかります。
 今回の「就労支援」という形式では、必要な時期に作業を依頼することができ、労働力を確保することが可能になりました。
そして、一定額の給与を支払うという形式から、作業量に応じた歩合制に変更することで、若干ではありますがコストカットも成功したのです。

北限のゆず研究会のみなさんから

会長 佐々木さん
 農福連携をするにあたって、初めての試みなので正直不安な要素もありました。
今年度も課題は残りましたが、分かりやすいマニュアルの作成などの対策をとり、時間をかけて対応をしていくことが、結果より良い将来に繋がるものになっていくと思います。
地域内で農業と福祉が連携し、お互いに補い合っていくことによって、どんどん発展していくことが楽しみです。」

2022 年度 事務局担当 齋藤さん
「農福連携自体は素晴らしい試みではありますが、農業、福祉、それぞれの課題点を解決できるような役割や仕組みが重要です。
また、間に入るコーディネーターの存在が必要不可欠だと感じています。
互いに相乗効果が出る循環ができることに期待したいですね。
そしてなにより、参加した皆さんが、真摯に作業に取り組んでくれたことがありがたかったです。
 このゆずは、私たち研究会だけの力ではなく、携わって下さる皆さん、風土と気候を生かしゆずを栽培してきた先人たちの努力が根底にあるものです。
そういった歴史や思い、ご縁を大事し、多くの方々に愛されて後世に繋げていってほしいです。」

北限のゆず研究会とは

 かつて岩手県沿岸地区の民家には、当たり前のように庭木としてゆずが栽培されていました。
一部市場で流通されていた以外、家庭での消費が主であり、用途としてはゆず湯の他、食用として漬物やジャムなどで使用されていました。
 2010 年から、岩手県二戸市の「株式会社 南部美人」の糖類無添加ゆず酒の開発のため、果実の集荷に取り組んだところ、そのポテンシャルの高さに気付くこととなります。
特に爽やかなその香りが特長的なゆずは「北限のゆず」と名づけられ、ついに 2013年 6月に陸前高田市役所にて「北限のゆず研究会」が組織されました。
 組織化された後は、構成団体やサポーターが次々と増え、このゆずのブランド化へ向けて取り組んでいます。

取材・文:垣内亜美

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