2023/11/15 朝日のあたる家「みんなでごはん」
劉辛夷(りゅうしんい)さんの飛び込み企画「福祉ネイル」
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毎月第2水曜日に開催されている「みんなでごはん」。
高齢になると運動量が減り、人と会う機会が少なくなったという方もいるかもしれません。
そこで朝日のあたる家では、月に一度、大勢で会食を楽しんだり、
調理で運動能力を高めたりする企画が開催されています。
気温がぐっと下がり、冬目前の日和でしたが約30名もの方々がお越しくださいました。
この日は食事の準備中に、地域おこし協力隊インターンである劉辛夷(りゅうしんい)さんによる
介護美容(※1)の「福祉ネイル」イベントが行われました。
(※1)介護美容とは、高齢者が見た目を整えることで前向きな気持ちになり、リラックス出来るなど心身の疲労軽減に効果があるとされる療法です。
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「高田」の人々の笑顔に誘われて
劉さんは北京(ペキン)生まれの関西育ち(現在は東京都在住)。
インターンとして働く前は美容関係の仕事をしていましたが、
経験を積む中で「男女問わず元気を提供する仕事」がしたいと、福祉ネイルを学ぶことを決意しました。
その後、この資格を生かす場所を探していたところ「高田暮舎」のサイトを通して紹介されたのが
「朝日のあたる家」の地域おこし協力隊だったといいます。
もともと自然が大好きだった劉さんは、
友人と訪れた岩手県の澄んだ空気や水の美味しさに衝撃を受けます。
そして瀬戸内海しか見たことが無かった彼女にとって、
初めて見る太平洋の壮大なスケールには心を大きく動かされたといいます。
また、旅行中は人の温かさを感じる場面が多く「岩手愛」が膨らんでいったのだそうです。
インターンとして来訪する決め手になったのは、
朝日のあたる家のHPに載っていた高田の人々の笑顔の写真でした。
「高田の方たちの笑顔が本当にキラキラしていて、私が行きたい場所はここだと思ったんです」。
実際にインターンとして高田を訪れてからも魅力は止まりません。
柚子の剪定や、りんご農家の手伝い、椿の葉っぱの選出など多岐にわたりましたが、
この地域の方々の人柄の良さにいつも元気をもらい、ハツラツと楽しく仕事ができたそうです。
ある日、「りんご持ってくか?」とさっき会ったばかりの方にりんごを一袋も頂いたことも。
前から知っていた親戚のように接してくれる度量の深さ。
都会では味わえなかった「人」との濃密なつながりが、ここにはありました。
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「福祉ネイル」の本当の目的とは
「みんなでごはん」の準備中に行った「福祉ネイル」は大人気!
「おしょすい(※2)…」と言って最初は遠慮していた方も、劉さんのにじみ出る優しさでしょうか、
「やってみましょう」という声掛けにどんどん参加者が増えていきました。
施しを受ける間も参加者の話に耳を傾けながら
「(気仙地域には)本当にきれいな人が多いですね」とコミュニケーションをとりつつ、
丁寧にネイルを仕上げていきました。
(※2)恥ずかしいという意味の気仙地域の方言。
劉さんのネイルケアの目的は「自分自身を大切にする時間」といいます。
手のしわも、シミも、その人の生きた勲章であるということ。
爪を整えるというたった一つの行為が、普段気にも留めなかった自分の手を見つめる時間となり、
そのすべてを受け入れることで「自分自身への愛情」を見出すことにつながるのだそうです。
仕上がった爪を見て、うっとりと自身の手をみつめる参加者。
「今日は高貴なマダムになった気分だわ~」「家でもネイルしてみようかな。
リハビリにもなりそうだし」という声が聞こえてきました。
劉さんも「みんなに喜んでもらえたことが一番。楽しくて嬉しくて私のほうが元気をもらいました」
と、お互いに幸せの時間となったようでした。
「みんなでごはん」の時間は、「みんなで幸せ」の時間になったようです。
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取材・文 戸羽美智子