産福連携



実績


2023/10/17 和歌山県へ農福連携視察

「早月農園に学ぶ農福連携」〜和歌山県視察〜


廃校を使った農福連携

季節は10月のこと

農林水産省ノウフクアワード2022の優秀賞を受賞された
和歌山県有田郡の社会福祉法人有田つくし福祉会の就労継続支援B型事業所「早月農園」さんへ
朝日のあたる家とタカタアグリコンソーシアムとして視察に行ってきました。

旧早月小学校を利用した就労継続支援B型事業所「早月農園」

ノウフクアワードとは

ノウフク(農福連携)の取り組みを表彰を通じて実践者を応援し
その価値を多くの人に知ってもらい、地域社会に根付かせるためのアワードです。

◯ノウフクアワードとは
https://noufuku.jp/award/
◯ノウフクアワード2022
https://noufuku.jp/award/award2022/result/
◯早月農園HP
http://www.wasaren.org/hayatsuki/

早月農園は和歌山県のみかんの名産地である有田郡の中山間地にあります。
山道に入る前の市街地もみかん畑で溢れていて見渡す限りオレンジ色です。
歩道にも当たり前のように落ち葉のごとくみかんが転がっていました。
(拾って食べてもいいのかな…)

歩道や車道の側溝には落ちたみかんでまるでオレンジのレールが敷いてあるようです。
視界を街を囲むように連なる山肌へ向けると、ほとんどの山が段々畑のようになっていて、所狭しとみかんの木が群生しています。

みかん山と言われる所以がありありとわかり、それはもう壮大な景観でした。

中山間地に入るとこのような景色が続きます

市街地から山間地へ入り車を20分ほど走らせると
道幅はどんどん細くなり車両1台分になります。
少し視界が開けるとまた山肌にはみかん畑がたくさん。
このような景色がずっと広がっています。

どの山も本当にこのようにみかん畑

いざ、早月農園へ

そして早月農園に到着しました。
早月農園は廃校になった早月小学校を活用し
就労継続支援B型事業所として
みかんの栽培や農業を中心として活動しています。

金木犀の香りが漂う旧校舎

高齢化や過疎化により、みかん畑を辞められる方が増えていく中で
地域の遊休農地(耕作放棄地)を活用、継承して
農福連携によって労働力で農家さんを支え
自農場としても継承し、みかんを管理することで
利用者さんへ農業の仕事を用意し、産業の持続化と地域貢献も果たされています。

初めは小規模に40アールから始めて、今では4.7ヘクタールまで拡大。
農業収入は120万から10年で1,570万までに向上。
平均工賃は16,000円から29,000円に向上となったそうです。

担い⼿が⾒つかりにくい中⼭間地の段々畑を活⽤して
みかん等の柑橘類、南⾼梅、⼭椒、野菜を⽣産し
みかんは競合を避け⼤阪、関東へ出荷されています。

みかんの重量選別機
ししとうやみかんを選別する利用者の皆さん

廃校活用ということで各教室を活用して
作業場や休憩室、加工場や選果作業場などを作り
利用者の皆さんも活き活きとお仕事をされており
視察の一行に対しても皆さん快く迎え入れてくださいました。
利用者の皆さんは、この日はししとうの選別作業やジャム作りをされていました。

快くピースをくださいました
え!?岩手から来たの!?と
別教室はジャムなどの加工室に
出来立てのマーマレードを味見

有田郡を代表するみかん畑へ

校舎での就労支援事業所の様子を見せていただいた後は
実際にみかん畑の現地を案内いただきました。
これがまたすごかった…
TV朝日系列の「ポツンと一軒家」で山中の一軒家に向かうような
まさに酷道と呼ばれるような山道を軽トラックでどんどん登っていきます。

とにかく車一台分、対向車がきたらどうするのかドキドキ

道中の様子はこちらからもご覧になれます(タカタアグリコンソーシアムInstagram)
https://www.instagram.com/reel/Cymm87mOFGV/?utm_source=ig_web_copy_link
https://www.instagram.com/reel/CymrqBSRikG/?utm_source=ig_web_copy_link

やがて大きく開けた山間部へ入ると車が止まり。
山の傾斜を見上げるとそこにはまた広大にみかん畑が広がっています。
岩手ではあまり見かけませんが、収穫したみかんを運ぶモノレールが
山の傾斜のいたるところに設置してあります。(ジェットコースターのごとく)

まだまだみかんの時期はこれから
10月の和歌山は西陽が暖かく汗ばむ陽気
とにかく傾斜地にたくさんみかんの木々

今年は猛暑で草刈りも大変だったとのこと
(この傾斜地と高度、想像してゾッとします…)
10月の和歌山はまだまだ暖かい日差しでした。
(ちなみにこの地域は冬タイヤは履かないそうです笑)

傾斜での作業のため運搬にモノレールは必須とのことで
陸前高田は傾斜地でもりんごを中心とした果樹が盛んですが
モノレールまでは見たことがありません。
この辺りは本当に文化の違いを肌で感じました。

いずれ、陸前高田でも果樹産業は高齢化や担い手不足での減少傾向です。
早月農園のように廃校を活用しながら農福連携を推進していくことは
私たちもまさに進めていきたいところであったため
先輩モデルとして今回の視察が大きな一歩になりました。

和歌山では他地域でも廃校を活用した事例は多いとのこと。
既存の資源や連携、福祉の社会参加を作りながら
地域産業をお互いに支えていく構造は
これからの農福連携のスタンダードになっていく気がしています。

早生みかんをいただきながら
これからの果樹産業の未来を思い
早月農園の皆さんの笑顔を見ていると
その未来は明るいかもしれないと

強く思うのでした。

山間地にご満悦のコーディネーター鈴木

早月農園の皆さんありがとうございました。
米崎りんごを冬にお送りしますので
みんなで皮ごとかじって
その味にびっくりしてくださいね

( 文:鈴木 拓 )

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