きっかけは福祉就労との連携
バンザイファクトリーさんから椿茶加工の連携先を増やせたら、と
サポートのご相談をいただいたのがちょうど1年前の12月(2022/12)
その年明け、2023年の1月から朝日のあたる家で椿の採取を始め
そしてまもなく1年になります。
朝日のあたる家では現在
バンザイファクトリーさんで製造している
「椿茶」の一時加工の連携サポートをしております。
椿茶を製造しているバンザイファクトリー代表の高橋さんは
「椿は地域のもの」
「地域の物、地域の人、地域の工場、で作られるように」
との思いから
椿茶の一次加工として、葉を拭いてきれいにして納品する工程、を地域に切り出し
地域の方々の内職や、福祉と連携し、福祉就労である就労継続支援B型の事業所さんや
就労支援センターとも連携されていました。
椿茶の加工作業は今ではとても大きな広がりを作り
現在では岩手・宮城で10箇所以上の連携先となっています。
▶️椿茶一次加工連携先 https://www.sagar.jp/14
その中でも朝日のあたる家がお手伝いしたコーディネート先として
・就労継続支援B型事業所 青松館さん
・就労継続支援B型事業所 @かたつむりさん
・就労継続支援B型事業所 蒼さん
など3事業所をお繋ぎすることができました。
先からの連携先であるスナフキンアンサンブルさん(旧ユニバーサル就労支援センター)も
現在では朝日のあたる家の椿を原料に連携をしています。
また、現在では障がい者福祉就労の枠を越えて
高齢者デイサービスセンターや精神科デイケアセンターの方々の日中作業にまで
作業協力の輪は広がってきています。
椿茶の仕事はなぜ広がりを得たのか
なんと言っても、誰でも関わり所が作れる、というところがこの椿茶の仕事の魅力です。
・葉を切り出す
・使える葉と使えない葉を選別する
・食用アルコールを馴染ませる
・葉の表面の蝋質や汚れを綺麗に拭き取る
等、作業工程を分担できるため
障害があっても工程や担当を分けた作業分担ができることから
福祉就労においてはみなさんが参加できる仕事としてとても喜ばれています。
そして椿は年中常緑で落葉も少ないため
椿があれば年間を通して作業を行うことができます。
しかし、その一方で椿の原料の採取が課題となっていました。
椿の採取に出かけること、採取場所の確保、量の確保
これらが就労支援事業所などではハードルとなっていました。
大船渡市の協力で市の管理地である椿自生地での採取はできることになっていましたが
急斜面であることや、現地への移動時間、作業量を考えると
定量を確保しながら仕事とするには困難さもあり
椿の仕事はしたいんだけど、、、と連携につながりづらいとの声がありました。
そこで、朝日のあたる家で代理で椿の採取を行うことで
朝日のあたる家へ椿の葉を集めて集積所として受託を仲介し
就労支援事業所はそれを活用して作業して納品をする
と言った朝日のあたる家を中間地点として活用した連携サポートを始めました。
このサポートが口コミや紹介で広がり
地域の方々から
「この椿は何に使うの?」
「私も内職としてやってみたい」
「この内職を紹介したい人がいる」
と徐々に広がりができていきました。
ケアマネージャーさんから
「身体障がいがある方でも家でできそう、リハビリがてらどうかな?」
「マヒのあるうちのお父さんにやらせたい」
とのお声があることやご紹介をいただいたり
社会福祉協議会の支援員さんから
「生活困窮で支援している人に紹介したい」
「就職は難しいけど在宅での仕事ならできそうな人がいる」
とご紹介や相談が広がりに広がり
私たちも体験ワークショップをその都度開いてサポートを行いました。
今では陸前高田市や大船渡市を合わせて
24名の内職の方々へと繋がり
みなさん毎週、朝日のあたる家に椿をとりに来ては持ち帰り
拭いた椿を朝日のあたる家に納品くださり
朝日のあたる家ではそれぞれを計量して
数量をまとめてバンザイファクトリーさんにお届けしています。
その椿をバンザイファクトリーさんでは1キロあたり2000円で買取をしてくださいます。
初めは週2〜3キロの納品でしたが
今では週10〜15キロを納品するまでになりました。
椿のサポートを始めて
朝日のあたる家が収穫した椿から
バンザイファクトリーさんに納品された量は
約280kgに及びます(2023/11末現在)
そこから生み出された委託費としては 563,900円
椿を通して地域産業への社会参加できた方々の数は 5事業所と24名の内職者
椿茶の一時加工に係る方々は 約60名にも及びます。
中には、「就労継続支援B型に通所していたときは工賃が15,000でしたが
今では椿の内職で30,000円を収入にできています」と言ったお声も
椿茶の一次加工はみなさんの生活を支える貴重な収入源や働き方の多様性も支えています。
立派な中間的就労になっているのではないでしょうか。
椿の産業が生み出したもの
椿茶を支える
一連のストーリーに1年を通して関わり
産業とは単純な生産活動だけではないこと
「人との繋がり」を産み
「笑顔」を産み
「ストーリー」を産み
「生活の支え」を産んでいくこと
そして地域産業とはそうやって
地域を作っていくことなんだなと
忙しい日々で忘れていた大切な原点を感じさせられています。
「産業とは人の関わりと笑顔を産む生業(なりわい)になってこそ」
そんなことをこの椿から学んでいるような気がしています。
まだまだ
椿茶が興したストーリーはこれからも続いていきます。
「一人に一つをありがとう」
バンザイファクトリーの高橋さんが大切にしている言葉
まるで椿も
その言葉を繋いでくれているかのように
(文:鈴木 拓)
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