産福連携



実績


バンザイファクトリー×ファーム小金山×朝日のあたる家

100%三陸産を目指して〜序章〜


始まりは原材料不足という困りごとからでした

「椿茶の売り上げが伸びてきたけど、アマチャの生産が落ちてきた。そしてついに今年の3月に取引している産地の限界が来てしまった」と語ってくれたバンザイファクトリーの高橋さん。

バンザイファクトリーの主力商品である「椿茶」。これは朝日のあたる家が、椿の葉の一次加工の作業記事で何度か紹介してきました。その「椿茶」の優しい甘みを出すのに欠かせない「アマチャ」は、アジサイの仲間で岩手では九戸村が国内有数の産地です。生産されたそのほとんどが、仁丹や漢方などの原材料に使用されています。

ですが、「アマチャ」の農家さんの高齢化と後継者不足にともない、生産が少しずつ落ちてきました。以前から「アマチャ」の確保に悩んでいた高橋さんは、朝日のあたる家のコーディネーターである鈴木さんに相談していました。そして今年「椿茶」の売り上げの伸びに「アマチャ」が追いつけず限界が来てしまったのです。

そんな時に鈴木さんから、「いっその事、アマチャを陸前高田で作ってみましょうか」と声がかかりました。バンザイファクトリーの「椿茶」の原材料である椿の葉は全て三陸産。なので「アマチャ」も三陸産になれば100%三陸産の「椿茶」が出来上がります。その試みに協力したいと手を挙げた農家が、「黄金生姜」でお馴染みのファーム小金山さんでした。

踏み出した一歩

「アマチャ」生産への歴史的第一歩は11月中旬の晴れ渡る、なんとも気持ちの良い日でした。

ファーム小金山さんの農地で、バンザイファクトリー代表の高橋さんとスタッフの女性2名、朝日のあたる家の鈴木さんとサポートスタッフ4名。あわせて9名で600本の「アマチャ」の作付作業です。

小金山さんが中心となって。苗植えのやり方と注意点を共有して作業が始まります。

この日使われた堆肥は、朝日のあたる家が用意した有機肥料。その原料には、「椿茶」の一次加工で出た、椿の枝やはじかれた葉を砕いたチップが入っています。朝日のあたる家が目指す、循環型農業によって椿と「アマチャ」がここで初めて出逢います。

作業をしていたバンザイファクトリーの女性スタッフさんは

「椿茶が100%三陸産になったら、製造する私達も、購入してくれるお客様も喜んでくれるのではないでしょうか。今からとても楽しみです」と嬉しそうに語ってくれました。

この「アマチャ」が収穫されるのは再来年、2026年の夏の予定です。

陸前高田の特産品にアマチャが肩を並べるために

今回の取り組みを通じて、それぞれが思い描く視線の先を覗かせていただきました。

バンザイファクトリーの高橋さん
「まずは、椿茶の原材料として使える品質に育ってくれれば嬉しい。いずれ100%三陸産の椿茶を提供することを目指したい。ただ、アマチャの生産においてはそこで終わらずに、もっと拡大していってほしいと考えます。全国的にも、また素材として活用している製薬会社の間でも、アマチャは足りていない状態だと聞きます。もし陸前高田でアマチャが作られて、製品化され、それを広く公開すれば、大手の会社が声をかけてくるはずです。そうなれば、陸前高田市でのアマチャ産業は、より盛り上がるんじゃないかな。そうなって欲しいと期待しています。バンザイファクトリー を足がかりにして」

ファーム小金山の小金山さん
「今回の試みはとても大きなプロジェクトで、まだ実感がわいていませんが出来る限りをやらせていただきたいと思います。いつも思っていることですが、陸前高田の特産品を作ろうという気持ちで臨んでいます。幾つか考えている想いの中に、自分たちが作ったものが企業さんに採用されて、皆さんの口に入ることが理想だなと考えていました。なのでこのアマチャの生産をやってみたいと参加しました。朝日のあたる家には全面的に協力してもらっていて、心強いです。もう、いないとまわりません。収穫まで朝日のあたる家とタッグを組んで、成功させたいと思います」

朝日のあたる家のコーディネーター鈴木さん
「まずは、アマチャを収穫までいけるように、小金山さんをバックアップしたいです。そして収穫やそのあとの茶葉への加工には、たくさんの人出が必要です。ここで新たなお仕事が生まれることによって、朝日のあたる家の事業の1つである、高齢者や障がい者への就労支援でお仕事を振ることができます。皆さんにとって良い方向に行くように、お手伝いが出来たらと思います」

お三方とも「アマチャ」の生産の成功を願いながら、見つめる先はそこよりもさらに向こうを見据えていました。この日の作業には、東海新報さんやIBCのテレビ局も取材に来ていました。メディアも大注目のプロジェクト!お見逃しなく!

最後に……

「アマチャ」がたい肥になった椿と出逢い、最後にまた2つ合わさって「椿茶」となる。これを聞いたとき、勝手ながらラブストーリーのようだなと感じました。それもきっとハッピーエンド。人もモノも三陸で作られた椿茶は、いつまでもいつまでもみんなに愛されるでしょう。この物語は、まだ始まったばかりなのです。

取材・文 熊谷美里

株式会社バンザイファクトリーHP ▶️https://www.sagar.jp/

↓関連記事はコチラから↓

一覧

ページのトップへ戻る